『少しは悪い男になれ』の巻  
 ::: 警察の取り調べ室である。
 刑事 「お前がやったってことは分かっているんだぞ」
 犯人 「知りませんね」上を向いてとぼける。
 刑事 「財布を拾って警察に届けただろう」
 犯人 「知りませんね」
 刑事 「年寄りが階段で困っていて、お前はおんぶしてやっただろう」
 犯人 「人違いだな、それは」
 刑事 「電車の中で女子高生をチンピラから助けたのもお前だろう」
 犯人 「知らねえな」
 刑事 「日本の景気を良くして、株を上げたのもお前の仕業だろう」
 犯人 「俺がそんなことするかよ」
 刑事 「全部、私がやりましたと、白状すればそれで済むじゃないか」
 犯人 「白状したら、俺の罪はどうなんだよ」
 刑事 「そうだな、禁固20年の刑になるだろう」
 犯人 「だから厭なんだよ。もう少し何とかならないのかよ」
 刑事 「しょうがないだろう、良いことばかりやるから悪いんだ」
 犯人 「すいません、こんどは真面目になって少しは悪い男になります」
 刑事 「やっと改心したんだな、それでいいんだ・・・」
 刑事と犯人はカメラの方を向いて得意のニンニンをする。
 ::: 鐘がチーンと鳴って終わる。